【ヘタリア土日】ぷらんつ【観用少女パロ】PDF
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2009/2/15発行ヘタリア土日観用少女パラレル小説本です。パラレル・人名使用注意。 表紙jpg、本文pdfです。
サンプルテキスト
私の名は菊と申します。 名のあるプランツは一等品のあかしでもあります。他のプランツとの最大の違いは極東オリエンタリズムを取り入れたところでしょうか。絹よりつややかな黒髪に、陶器のごとくが肌、そしてオリエンタルな、東の果ての顔立ち。プランツは金髪がおおいですし、中世風な洋装が普通ですので、お客様は物珍しげにしてらっしゃいます。絢爛な大振袖を着ておりますので。その日私が着ておりましたのは繻子縮緬に金糸銀糸の縫い取りの、帯に至るまで菊をあしらったものでした。私の衣装のうちでも取り分けうつくしいもので、それを着ていた日にあのかたにお会いできたのはそれは幸せなことでした。あのかたは困惑してらっしゃいましたけど。 「生き人形……はなしにゃーきいてたが」 「お前みたいな者がおいそれと目に出来るシロモノじゃねーある」 大哥(あにうえ)がそう言うのに、あのかたは大哥(あにうえ)をじろりとに睨み付けました。私といえば馬鹿になったようにひたすらににこにこしておりました。もうほとんど夢心地、目の前にあのかたがいる、生まれたときより待ち望んでいた。しあわせがはらからふくれあがって笑みになってこぼれおちるようでした。 「このこは、菊」 「菊……、」 ああ、幸せであたまがどうにかなってしまいそう。名前を呼んでいただけた! 「お前、金は持ってるあるか」 大哥(あにうえ)は私の座る椅子の背に手をかけたまま言いました。あのかたが声を荒げたのは、驚きによってのようでした。 「は!? 見物料ってぇか?」 「このこの代金ある」 「はああ!? こんなたかそーな人形買える金なんてもってねぇぜ!」 「そんなのわかってるある。お前の一族郎党のはらん中身売り払ったって前金の足しにもならんあるよ」 「ふ、ふざけんじゃあねぇぞ」 「で、いくらなら出せるある」 「買うなんてぇ言って、」 「買わない?」 じろり、と大哥(あにうえ)はあのかたをみあげました。あのかたは大哥(あにうえ)より背が高かったので。 「買わない言うあるか? 畜生のほうがまだ可愛いげがあるよ。このこの目をみてもう一度それが言えるあるか?」 大哥(あにうえ)が私の真後ろに回ってぐいと私の頭をあげさせました。私は慌ててしまってあのかたが私を要らないとおっしゃっても私は平気と、そう思って頂くために、頂くためにどうすればいいのかわかりません。私はもちろんあのかたの傍にいられればそれが一番幸せですが、あのかたにとって私が負担ならばそうでなくてもかまいません。であえただけで、十分すぎるほど幸福だったのですから。それでも胸に走る痛みに笑うことができませんでした。あのかたは困惑の表情で私を見て、「……いくらだ」と俯いておっしゃいました。私はもう、駆け寄って抱きしめてしまいたかった! 残念ながら、それには身長がたらなくてせいぜい足に縋るしかできなかったでしょう。かわりにとびきりの笑顔であのかたを見つめました。 「食事はいちにち三回のミルクと、週に一度砂糖菓子。毎日清潔な服に着替えさせるのを忘れないように。基本的な身の回りのことはまあ自分でできるようになってるあるよ」 「……それだけでいいのか」 「没有」 いいえ、大切なのはほかにあります。私たちプランツにとって一番の栄養。 「『愛情』」